JBCF・Jプロツアー第16戦 輪島ロードレース (最終戦)
2011年10月18日 Web Staff
開催日 2011年10月16日(日)
開催地 石川県輪島市門前町周辺・周回コース
(88km、7回×1周/12.6kmの周回コース)
JBCFロードシリーズ、2011年シーズン最終戦となる「輪島ロードレース」が石川県輪島市で開催され、阿部嵩之選手が優勝、畑中勇介選手は2位となり年間チャンピオンを奪取、シマノレーシングも団体成績でチーム年間総合優勝を獲得しました。
このレース注目となったのは、年間総合リーダーを保守する増田成幸選手(宇都宮ブリッツエン)とそれを追い上げる畑中選手のリーダー争い。このレースを畑中選手が優勝すれば、増田選手が2位となっても年間総合優勝は畑中選手の手に、しかし畑中選手が2位の場合は増田選手を6位以降に沈めなければなりません。つまり、このレースを畑中選手が勝たない限り、タイトルの奪取は難しいと言う実に大きな難関が立ちはだかりました。
しかし、シマノレーシングからは国内で最強チームとして走り続けた6名のほかに、ヨーロッパで活動していた平塚吉光選手・阿部嵩雪選手の2名が参加、畑中選手の逆転を演出する最高のメンバーを用意し臨みました。
レースは計画していた通り、阿部&青柳憲輝選手が逃げに乗り後続集団はシマノレーシングがコントロール、序盤から緊張感を持ちながらの戦いとなります。
しかし、レース序盤の下り坂でリーダーの増田選手がクラッシュ、ここはシマノの選手もペースを落としリーダーの復帰を待ちますが、増田選手は大きな怪我を負いリタイアとの情報が流れます。
会場はそのアナウンスに静まり返り、沈黙に包まれました。彼との戦いを強く望んでいたシマノレーシングの選手も同じ、やり切れない気持ちでレースを走り続けます。
しかし、畑中選手は違いました。
そのまま無難に完走していれば年間総合成績での逆転は手に入る状態でしたが「レースに勝って、その場所に立つに相応しい事を証明する」それこそが、戦い続けたライバルへの礼儀と考え心の火を再び燃焼させます。
終盤に鈴木譲選手のアシストを受けて先頭集団に追いついた畑中選手は、それまで逃げていた阿部選手と共に最後のアタックを成功させ、そのままゴールまで走りぬけ見事1位&2位フニッシュを決めました。
2人は手をつなぎゴール、今日のレース一番のリードを見せた阿部選手が先着、畑中選手が2位でラインを通過しました。
**********************************
= 以下シクロワイヤードより転載 =
**********************************
スタート後30分で衝撃が走った。「ブリッツェン落車」の情報が駆け巡る。リーダージャージを着る増田成幸だった。それからのシマノは力づくの勝負に出て阿部嵩之と畑中勇介がワン・ツーフィニッシュ。畑中が年間チャンピオンになった。

5周目、メイン集団、福島晋一(ボンシャンス飯田JPT)の姿も: photo:Hideaki.TAKAGI
Jプロツアー最終戦の輪島大会が10月16日(日)、石川県輪島市門前町で行われた。ここ輪島での大会は今年で4回目。今年の注目は何と言っても個人年間総合優勝の行方だ。
リーダーの増田はここまでで10000点。2位につける畑中は9825点で175点差。畑中優勝なら総合優勝。2位ならば増田を6位以下にしないとならない。増田のこのコースでの適性を考えると、畑中が逆転するには実質優勝しかない。
宇都宮ブリッツェンはヘラルドサンツアーと掛け持ちのためメンバーを2つに分けて臨んだ。エースの増田と、地元の中村誠、小坂光そして今大会でブラウブリッツェンから昇格した堀孝明の4名だ。
シマノレーシングはオランダから帰国した阿部嵩之と平塚吉光を加えた8名のフルメンバー。ブリヂストンもエスポワール勢も加わってほぼフルメンバー。ブリッツェン対シマノの戦いに割ってはいるブリヂストンの構図にスタート地点は盛り上がる。
ここでシマノレーシング村上純平の今シーズン限りでの引退のアナウンスが流れる。山形県出身の村上は、鹿屋体育大学4年次の全日本選手権ロードU23で優勝、シマノ入り後はオランダで修行してきた。今年はツール・ド・おきなわが最終戦となる。

門前町内をパレード: photo:Hideaki.TAKAGI

2周目、メイン集団のシマノ、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)ら: photo:Hideaki.TAKAGI

6周目、先頭の4人: photo:Hideaki.TAKAGI

6周目、狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)ら追走の4人: photo:Hideaki.TAKAGI
1周目で逃げができる
それぞれの思いを胸に、レースはスタート。門前町内をパレード走行する。
コースは大きな上り2箇所を含む厳しい12.8kmで、これを7周する。
1周目、スタートアタックは伊藤翔吾(京都MASSA-FOCUS-SUPER B)。これに才田直人(ボンシャンス飯田JPT)らが反応し集団はひとつのまま2つ目の上りへ。この頂上手前で普久原奨(チームブリヂストン・アンカー) と池部壮太(チーム・エスポワール・ブリヂストン)がアタック、これに阿部嵩之(シマノレーシング)と青柳憲輝(シマノレーシング)が合流する。さらに後 方から小坂光(宇都宮ブリッツェン)、平井栄一(チーム・エスポワール・ブリヂストン)、小畑郁(なるしまフレンドレーシングチーム八王子)が合流して先 頭は7人に。
2周目に増田が落車
2周目、先頭は普久原、池部、阿部、青柳の4名になり、ブリヂストンの2名が先頭を引く。シマノは畑中で優勝を狙うため先頭には出ない。メイン集団はシマノ勢がコントロールする。その後にはブリヂストン、ブリッツェンらが続く。
一つ目の上りを終えて下りに入って増田が単独で落車。路外に横たわる。チームメイトの中村誠、小坂も寄り添う。
増田のいたメイン集団では、増田が落車して復帰していない状況が伝わり、鈴木真理の指示でシマノ勢がペースを下げる。
4周目、先頭の4人は変わらず逃げ続け、ペースの下がったメイン集団から五十嵐丈士(Fuji-Cyclingtime.com Japon)が抜け出す。
中盤から仕切り直したシマノ
5周目、先頭の4人へも増田の復帰が不可能になったことが伝わり、シマノ2人が先頭に立って、今度は逃げ切りの意志でペースを上げる。そしてメイン集団か らは狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)、清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)、畑中勇介(シマノレーシング)、鈴木譲(シマノレーシン グ)、平塚吉光(シマノレーシング)の5人が抜け出し先頭4人を追う。さらにこれを井上和郎(チームブリヂストン・アンカー)、マリウス・ヴィズィアック (マトリックスパワータグ)が追う。
7周目、一つ目の上りでついに追走4人が逃げる4人を捕らえる。ここで平塚と清水が下がっていく。そしてすぐに畑中がアタック。差をつけるがこれを狩野が 追って吸収、下り区間を経て畑中、阿部、狩野の3人に。ここで阿部がアタックして独走に。2つ目の上り、後方グループの畑中が単独アタックして、前を行く 阿部を追い合流。シマノ2人でゴールを目指す。
昨年と同じ展開だ。昨年はもう1周早く2人になり畑中が単独ゴールしたが、今年は2人並んで阿部先着でゴール。見事にシマノのワン・ツー勝利だ。

7周目、ゴールを目指す2人: photo:Hideaki.TAKAGI

阿部嵩之(シマノレーシング)と畑中勇介(シマノレーシング)がワン・ツーフィニッシュ: photo:Hideaki.TAKAGI
衝撃だった増田の落車

2周目、落車直後の増田成幸(宇都宮ブリッツェン): photo:Hideaki.TAKAGI
現場に下り急カーブで落車発生の報が入る。通過するとき見えたのはブリッツェンジャージ3名。中村が立っている。横たわっているのはルビーレッドジャージに 見えた。カメラのモニターでそれが増田と確認できた。小坂もいる。やがて救急車がコースへ入り増田の手当てをする。意識はしっかりしているが苦痛の表情が 見える。右上半身が特に痛いようで(のちに右鎖骨、肩甲骨、肋骨骨折と判明)、担架に載せるのにも時間がかかる。現場は小坂が片付ける。中村は地元での大 会を棄て、傷ついた旧友とともに救急車へ乗り込み病院へ向かう。
増田は今大会の、間違いなく主役だった。リーダージャージを着たままのリタイアは衝撃だった。増田は昨年の10月に腰椎を圧迫骨折し、その後のリハビリで 不死鳥のごとくよみがえり今年の国内ロードレース界を席巻した。選手間では、以前よりも強くなったと言われるほどだった。増田はふたたび療養期間を過ご す。しかし来シーズンはもっと強くなってレース界に戻ってくるだろう。
中盤以降、作戦通りの展開で勝利のシマノ
衝撃的な増田のリタイアだったが、誰にでも起こり得ることだし、大局的に見ればそれもレースだ。増田が復帰不可能となった時点でシマノレーシングはレースを仕切りなおし、現場は通常のレースに戻った。畑中にとっては、20位でゴールしても年間チャンピオンだった。
シマノの当初の作戦は、厳しい展開にしてゴール前でスプリント力のある選手を入れないことだった。シマノにとってはそこに増田がいてもかまわなかった。この厳しいコースで最後まで先頭に残れる選手でスプリント力が最もあるのは畑中なのだ。
ルビーレッドジャージに最終戦で袖を通した畑中は「自分が10位でゴールしてもこのジャージがもらえた。でもそれはしたくなかった。いつもの走りでワン・ ツーで終えたので、胸を張って着ることができる」という。全力で戦い勝つことが、リタイアした最大のライバル増田やブリッツェンに対する、シマノの考える 礼儀だった。

個人年間総合優勝の畑中勇介(シマノレーシング): photo:Hideaki.TAKAGI

団体総合優勝のシマノレーシング: photo:Hideaki.TAKAGI
結果
P1 88.6km
1位 阿部嵩之(シマノレーシング)2時間36分48秒
2位 畑中勇介(シマノレーシング)
3位 狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)+33秒
4位 鈴木譲(シマノレーシング)+52秒
5位 普久原奨(チームブリヂストン・アンカー)+55秒
6位 青柳憲輝(シマノレーシング)+1分22秒
7位 池部壮太(チーム・エスポワール・ブリヂストン)
8位 鈴木真理(シマノレーシング)+1分45秒
9位 清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)+2分36秒
10位 マリウス・ヴィズィアック(マトリックスパワータグ)+2分57秒



















